古稀を迎える友人を茶事でもたなしたいという裏千家のお茶の先生の依頼で出張懐石のお仕事がありました。

茶道の世界では茶事でお客様をおもてなしする事が最も正式とされています。約4時間ほどの間に炭でお湯を沸かし、香を焚いて空間を清め、懐石料理をお出しお腹を満たして頂き、主菓子をお出し、花を入れ、濃茶を点て、炭を直し、お干菓子をお出しし薄茶を点てるといった流れで茶室という空間を使って、五感を使い、ホストとゲストが密接に心を通わせるセレモニーです。ホストが手料理でもてなすのが一番ですが、料理まで手が回らないという事になると出張料理の依頼があり、お受けしております。

今回のお茶事ではご友人が古稀を迎えられるお祝いという事で途中でお赤飯をお出ししたいとのご希望で、新米を使ってお赤飯を蒸し上げました。

料理の間に3回ほどお酒をお出しするのですが、亭主と客と注ぎ合う際に酒の肴としてお出しする八寸。茶懐石では決まり事が少々ありますが、こちらは海の物と山の物をお出しします。海の物は車海老の含め煮と山の物は若桃の蜜煮をお出ししました。桃は長寿の象徴でもあり、さらにお元気でお過ごし頂けます様にとの願いを込めて。

今回はお料理だけでなく、主菓子とお干菓子も依頼されました。

古稀の祝いという事ですので、紫と白の染め分けの金団に金箔をあしらって。

お干菓子は鶴の和三盆の打ち物に千代結びをお作りしました。

出張料理ではお客様が召し上がっていらっしゃるご様子や雰囲気がこちらにも伝わってきて、今回はとてもお席が和やかで楽しそうな語り声が聞こえ、少しでもお役に立ててよかった・・・と心より嬉しく感じます。本来は亭主が作るものですので、出来るだけご亭主の気持ちに寄り添ってお料理を作る事を心がけています。

古稀を迎える友人を一緒に心を通わせてきた友人達と共にと祝うといった素晴らしい友人関係の素晴らしさに感動を覚えた一日となりました。